昨日の出来事。
ふと通りかかった楽器屋に展示されていたアコースティックピアノを試弾したら、その音色と感触に鳥肌がたつほど感動してしまった。やはりデジタル ピアノはアナログの近似でしかない。幼少の頃に嫌々ピアノを習わされていた自分が、この年になってその繊細さを発見するだなんて、いかに当時の自分が不ま じめだったかを思い知らされる。
しばらく試弾していると、そこに店員がやってきて驚くことを教えてくれた。
新品だと思って見ていたピアノが、実は1974年製の中古だったのだ。ピカピカに磨かれていて、とても自分より年上のピアノだとは思えなかった。
しかもそのピアノは電子ピアノも搭載するように改造されていて、サイレントピアノにもなるのだという。
そのことを知ってから、世代を越えて次の持ち主を待つこのピアノの姿がとても誇らしく見えた。彼を愛した人々の声、そして彼自身の発する言葉が聞こえてきたからである。
36歳になるこのピアノは、大事に守られながら美しく磨かれてきたのだ。
自分はそこまでモノを愛したことがあるだろうか。そして、自分の作るモノがそうやって愛されるだろうか。
ピアノからとても大きな力をもらった気がして、帰ってきてから練習を始めた。
いつか本物のアコースティックピアノを捕まえて、この手で大事に育てられるような器になりたい。


